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2017年09月07日

r*cove life~⑤光と風を生かしたエコライフ~

うだるような暑い夏の昼下がり。流れる汗をがまんできずにスイッチオン! クーラーから吹き出る涼風があっというまに部屋をさわやかにしてくれます。

 
「温暖化は気になるけれど、環境に配慮したエコ家電だから大丈夫。省エネタイプだから電気代もそれほどかからないし」

 
でも、ヒンヤリ快適な部屋の外では室外機からの熱風に耐える草木の姿。

 
これってちょっと気になりませんか?  いえ、従来の製品に比べたら間違いなく地球環境に配慮しているんだと思います。でも、なにか釈然としないものが……。

 
ドイツ南部のフライブルク市に、ヴォーバンというニュータウンがあります。「持続可能な街づくり」をコンセプトに、NPO団体が中心となって軍用施設の跡地につくった街です。ここの住人が実践している徹底したエコライフの一部を紹介します。

 

 

 

 

 

 

ヴォーバンでは、車社会からの脱却、緑地や生態系の保全、エコロジカルな住居の開発などさまざまな試みに取り組んでいます。中でも目を見張るのは太陽光や風といった自然エネルギーの有効活用です。おそらくその背景には、ドイツが石油や天然ガスといったエネルギー資源の大半をロシアに頼っており、万が一ロシアから供給をストップされたら国のすべての活動が停滞する恐れがあるからです。

 

 

 

 

 

 

とにかくヴォーバンでは行政と住民が一体となって取り組むので、やることのスケールが違います。

 
たとえば、従来型のエネルギーに頼らず夏を涼しく過ごすために、まず計画したのは、街全体を吹きぬける風の通り道を確保することでした。フライブルク郊外の「黒い森」と呼ばれる小高い森林から吹き込む風をさえぎらないように道路や公園を配置したのです。まるで風水をもとに都を築いたという平安京のような壮大なスケールです。

 

 

 

 

 

 

また、太陽の光と熱を効率よく取り込むための努力も相当なものです。建物はすべて南向きに建てられ、必ず南側に窓を設置することになっています。三重の断熱ガラスと分厚い断熱材を仕込んだ壁のおかげで冬でも室内はポカポカです。また、南側のひさしがとても長くつくってあるのは、夏の直射日光を避け、高度の低い冬の光を取り入れるためです。南窓に面した敷地に背の高い落葉樹を植えるのも同じ理由からで、夏は葉っぱで光をさえぎり、冬は葉が落ちることで太陽光を取り入れます。さらに、普通は窓の内側に取り付けるブラインドはなんと窓の外側にあります。太陽光が家の中に差し込む前に遮断することで、夏は屋内で光が熱に変わるのを防いでいます。

 

 

 

 

オフィスビルでは、羽板のはめ込まれた通気窓が設置されているのをよく見かけます。日中はカバーを閉じて通気窓をふさいでおき、仕事が終わったらカバーを開けて帰ります。すると夜間の冷気で建物が冷やされて、翌日みんなが出社する頃にはちょうどいい感じにヒンヤリしているという具合です。

 

 

 

 

 

 

 

なんだか楽しくなるようなアイデアばかりだと思いませんか?

 
ヴォーバンの取り組みに共感が持てるのは、すぐそこにある自然を工夫して使おうという姿勢が見えるからです。

 

 

 

 

クーラーで冷やしたり、暖房で暖めたり、人間の暮らしは、自然に逆らおうとすればするほど余計なエネルギーを必要とします。省エネの極意は、自然に対抗するのではなく利用することです。そして、身近な自然を利用することで環境へ配慮しているという手ごたえを感じ、人間の暮らしを支える自然に感謝する心が生まれるのです。

 
クーラーも暖房も必要なものですが、自然をよりダイレクトに活かす家は本来の意味で地球にやさしい家です。ヴォーバンの取り組みを見ていると、エコロジーの意味をあらためて考えさせられます。

(⑥にづづく)

2017年08月24日

r*cove life~④自慢したくなる地産地消の家~

さりげなく個性をアピールするアイデアとして「地産地消」があります。地産地消といえば食材というイメージがありますが、住宅でも地産地消は実践できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一般に知られているのが「地域産木材」を使う地産地消です。よく「県内産木材の家」といった形で売り出されているので、目にしたことのある方は多いと思います。国産材では木曽ヒノキや秋田スギといったブランド木材が人気ですが、それぞれの元の木材にだって良いものがあるはずです。とくに今の日本では戦後に植林したスギやヒノキが「刈り頃」を迎えており、どの地域にも立派な木材が育っています。

 

 

 

 

 

 

地域産材のよさはいろいろと言われていますが、私がひとつめに挙げたいのは「愛着」です。

 

 

 

木材の性質はその土地の気候や土壌に影響を受けるので、年輪や木肌にその土地らしさが出ます。

 

 

 

 

地元の森林に思いをめぐらせながら眺めるだけで、見知らぬ土地から持ってきた木材よりも親しみが感じられるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

 

価格の面では、今の日本の住宅に圧倒的に使われている輸入木材にかなわないのですべての部材に地域産木材を使うのは厳しいかもしれませんが、床柱や床など見えるところに使うだけでも気分が違ってきます。

 

 

 

木材の地産地消は地域にも利益をもたらします。

 

 

 

林業がさかんになることは地域を活性化し、森林が整備されることは治山治水につながります。また、木材が地域で循環するとエネルギーの節約になります。輸入材は国産材より安価ですが、海の向こうからはるばるタンカーで運んでくる輸送エネルギーを考えると、けっして地球環境によくありません。

 

 

 

岩手県のある製材所では、自然と林業が共存できる理想的な循環システムをつくろうとしています。地元の山から切り出した木を柱に加工するだけでなく、製材するときに出るおがくずを燃やして自家発電を行い、木材を乾燥させる熱源として利用しています。さらに余ったおがくずは固形燃料のペレットに加工して販売するという徹底ぶりです。そうした地産地消の産業が日本のあちこちで成り立てば、人間の暮らしも地球の環境も今よりよくなるに違いありません。そして、自然の循環の中に自分の家が組み込まれているならば、それはきっと誇るべきことです。家にまつわる地産地消は木材の他にもあります。

 

 

 

たとえば漆喰壁の色づけの方法として土を混ぜることがありますが、何も建材カタログに載っているようなものでなくても地元の土でいいのです。どんな色が出るかは「お楽しみ」なのですが、その土地の成り立ちを表した豊かな風合いを堪能できます。

 

 

 

考えてみれば、合掌造りの茅ぶき民家で有名な白川郷も赤いベンガラ屋根の石州も、あの美しい景観は地産地消を積み重ねていった結果の産物です。これからの日本に地産地消の新たな美観が生まれるとは望むべくもありませんが、足元にあるさまざまなモノに秘められた美に目を向け、家の片隅でも晴れの舞台をつくってあげるのも粋ではないでしょうか。

(⑤にづづく)

 

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