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2017年08月03日

r*cove life~③シンプルな住まいのかっこよさ~

フランス北東部のアルザス地方に、プチ・フランスという観光地として有名なエリアがあります。

 

 

ここではどの家も素焼き瓦のトンガリ屋根で、外壁は柱や梁や筋交いをむき出しにしてその間を漆喰で塗りこめる「ハーフティンバー」という様式で建てられています。まるでオモチャみたいにかわいらしく、日本でも高原のリゾート地などでハーフティンバー風のペンションをよく見かけます。

 

 

 

 

そんなすてきな家が石畳の路地にぴったりと面して立ち並ぶプチ・フランスを散策すると、絵本の世界に迷い込んだような気分になってきます。

 

 

このプチ・フランスのように、古都と呼ばれる美しい街の家並みには統一感があります。というのも、1軒1軒の家に多少の違いがあっても、使っている素材や構造がほとんど同じだからです。

 

 

 

 

それなのにけっして見飽きないのは、その土地の風土や歴史を反映しているから。プチ・フランスの家にも、隣接するドイツの建築様式の影響が見られたり、豊かな森林が育んだ文化がうかがわれ、その土地ならではの物語が詰め込まれています。

 

 

結局、家の美しさとは、そこで営まれる生活の美しさにほかなりません。家の個性とは本来、個性的なデザインから生まれるというよりも、日々の生活の積み重ねで自然につくられていくものなのです。

 

 

逆に考えると、たとえ土台となるデザインはシンプルでも、もっと生活に密着した部分で個性を出すことはできます。

 

 

 

 

 

プチ・フランスの家をよく見ると、実はいろんなところで個性をアピールしています。漆喰壁を思い思いのパステルカラーに塗ったり、窓枠や筋交いに十字架やハートの飾り彫りを施したり、柱の表面にかんなの刀跡をつけてアンティークな表情をつけたり、さらに花や緑で壁面を飾り立てて外観のアレンジを楽しんだりしています。

 

 

 

おもしろいのは、個性をアピールする場所が壁や柱などほとんど同じだということ。言い換えれば、それだけの違いでも十分にその人らしさは出るのです。

 

 

 

 

 

 

なぜこんなことを言うかというと、お客さまが理想の家をお話になるときに、「とにかくよそとは違った家にしたい」と言われることが意外に多いからです。

 

 

 

一世一代の家づくりなので他と同じにしたくないという気持ちはわかりますが、あまりとらわれるとお金ばかりかかって住みにくい家になってしまいます。また、人の趣味嗜好も長い年月の間には変わります。土台となる部分が奇抜すぎたり流行に流されたりすると、そのときはよくてもあとで後悔することになりかねません。街の景観の点から見ても、統一性がなくなるので美しくありません。

 

 

 

 

 

 

個性的な家づくりでは、丈夫で長持ち、使い勝手がよくて飽きがこない、そんなシンプルな家をベースにインテリアなどで自分らしさを出していくという選択肢を用意しておくと、失敗は少なくなります。

 

 

 

 

 

 

ロハスな暮らしとはシンプルに暮らすことでもあります。自分にとって必要なものは何かをよく考えて、必要のないものはなるべく手を出さない。そのかわり必要だと思うものはきちんとしたものを選び、手を入れながら最後まで使ってあげるという気持ちが大切です。

(④につづく)

2017年07月20日

r*cove life~②ロハスな暮らしはロハスな家から~

「いい家」の条件とはなんでしょうか。

 

 

明るくて風通しがよいとか、太陽光発電など最新の設備を備えているとか、セキュリティがしっかりしているとか、いろいろありますね。からだに安全な自然素材を使うのも「いい家」の要素のひとつで、このブログでもとくにアピールしたい点です。

 

 

しかし、そういうものを思いつくままに取り入れても「いい家」にならないのが家づくりの難しいところです。

 

 

ある若い夫婦が、離れて暮らす両親を呼び寄せるためにオール電化でセキュリティ完備の立派な2世帯住宅を新築したところ、ご両親はわずか数ヶ月暮らしただけで元の家に戻ってしまったという話があります。

 

 

お風呂が沸いても魚が焼けても「ピーピーピーピー」と鳴る「お知らせ」の電子音に気が滅入ったのだそうです。また、セキュリティがしっかりしているがゆえに、自分の家なのに玄関を入るときはいつもドキドキしていたのだとか。

 

 

両親にしてみれば、自分の手で湯加減を確かめて自分の手でボイラーを止めるといった、多少面倒でも手ごたえのある生活のほうがよかったのでしょう。

 

 

「いい家」をつくるには、何を取り付けるかを考えるよりも、どんな暮らし方をしたいかを思い描くことが先です。

 

 

そういった意味で、お金をかけるかわりに手間をかけて、日々を楽しみ、身近な幸せに感謝するというフランス人たちのスローライフはいい暮らしのひとつの理想です。

 

 

経済成長にかげりが見える日本では今、モノを買うために一生懸命に働いて、それを達成することで充実感を味わうという価値観が壊れつつあります。そんな時代であればなおのこと、これからは五感を使い、知恵を働かせ、何気ない日常に充実感を味わう生活に価値を見出すべきです。

 

 

 

 

では、スローライフの舞台となる家とはどんな家なのでしょうか。

 

 

 

 

それは住む人の気持ちに応え、時とともに味わいの増す家です。

 

 

私は中学生の頃からの趣味で盆栽をやっています。

 

 

何が楽しいかといったら、水やりや草むしりなどかいがいしく世話をし、日に日に変わる枝ぶりや葉姿を愛で、理想の形を思い描きながら形を整えていくことです。たまに失敗もしますが、それもまた自分ならではの味わい。手をかけた年月を思うとよりいっそう愛おしく見えます。

 

 

 

 

その愛着は家に対しても同じです。

 

 

 

 

 

フランスの田舎の家というのは、たいていは先祖から受け継いだ古い家です。そこに使われている石、土、漆喰、1本の原木から切り出す無垢材といった天然の材料は、建材として何百年と生きながらえる能力を秘めており、磨いたり補修したり、ていねいに手入れをしてあげることで古色を帯び、風合いを増していきます。

 

 

そのことを知っているフランス人たちは、家の変化を楽しみにしています。そして、そのプロセスの尊さを知っているから、あらゆるモノを大切にします。家はその思いを受け止めてより美しく変化し、人々をひきつけるようになるのです。

 

 

「大切にしたい」という気持ちを抱かせてくれる家こそ、私の考える「いい家」です。その気持ちが家に対してだけではなくモノや人、生活全体にいきわたったとしたら、毎日の暮らしはどんなにか充実することでしょう。

 

 

これまでいろいろな場所を訪れて、暮らしと家のいい風景に数多く出会いました。その中から、長く愛される家の要素を紹介していきます。

(③につづく)

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