プロフィール

最新エントリー

アーカイブ

カレンダー

QRコード

twitter

2017年11月05日

r*cove life~⑦思い切り深呼吸できる幸せ~

ツバメが軒下に巣づくりを始めると夏ももうすぐです。
狭い巣の中でぎゅうぎゅうに並んだヒナが、顔より大きく口を開けて親の帰りを待っている姿を見ると、4人の子を持つ私としては「さあ、今日も仕事をがんばるぞ」と気合いを入れずにはいられません。

 

 
親鳥がせっせと運んだ虫を食べて、巣からこぼれるくらいに大きくなっていくヒナたち。巣立ちを迎えるときは、「しっかりやれよ」という応援の気持ちに少しの寂しさがまじります。自分の子どもが自立するときもこんな気持ちになるんでしょうか。
身近な鳥につい自分を重ねて見てしまいます。

 
ところで、一説によるとツバメは農薬をまいた土地には少ないそうです。農薬のせいでえさとなる虫が少なくなることが原因だとさかんに言われていますが、それ以外に気になっていることがあります。これは私の憶測ですが、巣づくりの材料に農薬が入るのを嫌っているのではないでしょうか。

 
ツバメの巣は田んぼの泥やワラを自分の唾液と混ぜて固めてつくったものです。人間の家の土壁にそっくりですね。それらの材料をツバメが口に入れるとき、やはり農薬の味がするのは嫌なのではないかと思います。あるいは、農薬が無味無臭で当のツバメは気づいていないにしても、体の中に蓄積された農薬の影響や、農薬入りの泥でつくった巣がヒナに与える影響はどこかに現れているはずです。
愛着をもって末永く住める家であるためのもっとも基本的な条件は「安全」です。水と空気がきれいでなければ、とても何代にもわたって住むことはできません。

 
ところが、今の日本の住宅には安全をおびやかす状況があります。ツバメの巣の危俱と同じように、ホルムアルデヒドやトルエンなど合成化学物質を使用した建材が、シックハウス症候群のような健康被害をもたらしているのです。

 
最近になってようやくその有害性が知られるようになり、現在では法律で合成化学物質の使用量を規制したり、新築においては24時間換気システムを義務化したり、また建材メーカーが健康に配慮した建材を新たに開発するなど、さまざまな取り組みがなされています。
でも、私は家づくりの原点にかえって、無垢の木材や土、石、漆喰といった、伝統的な家に使われている自然素材を見直すことが根本的な解決になると思っています。

 
形は違えども、世界各地の伝統的な家はだいたいこれらの自然素材を使っています。
そして100年、500年、1000年と、人聞が何代にもわたって住み続けても害がなかったことを歴史が証明しています。
私たちの先祖が「健康」という言葉を意識しなくても健康的に暮らせたのは、有害なものを抑える技術をもっていたからではなく、もともと有害なものを使わなかったからにほかならないのです。

 

 

ツバメの数は日本全国でどんどん少なくなっているそうです。原因は、農薬の影響のほか、田んぼが少なくなったこと、住宅デザインの変化により巣をかける軒が少なくなったこと、カラスなど天敵が増えたことなどが挙げられます。
こうしたツバメの受難は人間にとって無関係ではありません。なぜならツバメは人間のつくった建物にしか巣をつくらないと言われるほど人間の生活に密着し、その生態を人間に合わせることで生き延びてきた鳥だからです。
そのツバメが私たちのまわりから消えるということはどういうことなのか。ツバメは身をもって、健全な住環境の意味を教えてくれているような気がします。

 

(⑧につづく)

back to top