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2011年12月14日

2020年某月某日

(写真:香嵐渓にて、今年はライトアップは12月まで延長だった)

 

2020年某月某日、今日は株式会社安江工務店の50周年記念式典の日だ。名古屋市内中心部の某ホテルには社員をはじめ、関係業者各社代表や金融機関、OBのお客様も多数出席されている。安江博幸はそういった関係者の中から幾人かの古くから親交のある人たちに声をかけられて、照れくさそうに挨拶を交わしている。安江は元来、人付き合いが苦手な人間なので、そんな挨拶も相変わらず、どことなくぎこちない感じだ。もう20年以上社長をやっていたとは思えない。

さあ、いよいよ記念式典冒頭の安江のあいさつが始まる。あいさつの内容は50年間、世代を超えてお付き合いをくださっているお客様や関係各社の皆さんへのお礼、彼を支えてきた社員や関係スタッフへの感謝の言葉、そして先の取締役会で社長が安江から若い新社長に交代したことの報告だった。

あいさつは短く終わり壇上から降りる安江、入れ替わるように、より大きな拍手で迎えられ壇上へとさっそうと昇る新社長。若い力で希望に満ちあふれている表情だ。さっそく新社長はこれからの会社の新方針についてプロジェクターの画像を使いながら力強く始まった。聞いている皆は、それに大きくうなずきながら説明にくぎ付けになっている。

新社長は、9年ほど前にあった大きな組織風土の変革から、若手中心に住まいに関するプロジェクトが次々と起こったこと、そしてそれらがお客様の大きな支持を得て、売上・利益ともに何倍もの大きさになったこと。今の大きな成功はその時の出来事がきっかけで始まったのだ、という説明が行われた。そして、当社の社員は皆、子供の数が多いことが自慢だ、とも、これは会場を大いに沸かせた。また今年の新卒内定者の中には社員の子供もいる…等々。

さらに新社長は続ける。これからは、さらに若い世代へ権限移譲をどんどん行って、愛知県・中部地方内にこだわらない、より広いエリアへの進展と、より生活者の利便性に立った新事業を打ち出していく、という胸躍るようなヴィジョンを語っている。

その説明のさなか、安江はますます盛り上がる会場を後にそっと出ていく。そしてホテルのエレベーターに乗って最上階から屋上へと出た。外を吹く風はいつもにも増して心地よい。空には星がいくつか見える。安江は大きく息を吐いて安堵とも、寂しげ、ともつかない表情で空を仰いでいた…。

そして一言つぶやいた、「ああ、これでいいんだ…」と。

 

 

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