2007年09月28日
経年美とは
「経年美」という言葉は聞かれたことがあるでしょうか?
経年美とは時間とともに増してゆく美しさのことを言います。最近では、「パティーナ」ともいわれるそうで、スペイン語で家具などの塗装が長い年月を経て「風合い」をもった色になっている状態をいうそうです。
たとえば、欧米諸国から日本に輸入されている、いわゆるアンティーク家具はそんな経年美に価値があります。美しい古さに魅力があり、そんな風合いを楽しまれる方に人気があるのです。新品の家具より価値が認められているものもたくさんあります。
家具だけでなく、住まいも経年美というものがあります。しかし近年の建物は新築した時点が最高であり、そのあと年月を経るごとに劣化し、古くなってゆきます。 古くなることは悪であって、新しいことが良いことだという考え方です。
でも、年月とともに味わいや価値を増してゆく住まいもあるのではないか、と思うのです。家が年月を経るごとに骨董品のように味わい深くなるというのもステキなことではありませんか。欧米の住まいでは特にこの経年美を大切にする習慣があります。中古の住宅でも新築のときよりも高く取引されるケースがあると聞きます。
日本では京都や倉敷、金沢などでたくさんの経年美をそなえた建物を見ることができます。そして、経年美を楽しむには、本物の素材「無垢の木」「土」「漆喰(しっくい)」などが使用されているのです。
無垢板の表面に付けられたその家の歴史や、微妙な色調の変化、刻まれた使用跡など、人工的なものでは作ることのできない魅力をかもし出してゆくのです。もちろんそのような家は、日頃のオーナーのメンテナンスや愛着があってこそ味わうことのできるものでしょう。また、そうした住まいは、町並みの一部となり地域の財産と言うこともできるのです。
古くなってゆくことが楽しみで、「愛着が持てる家」そんな住まいも良いものです。「スローハウス」と呼ぶことができます。
そして、私たち個人も人間としての経年美を大事して、美しく年を重ねて生きてゆきたいですね。